祖母と俺

9月に祖母が亡くなりまして、葬儀、法要、納骨等、ほぼ一段落ついて少し落ち着いたところなんですけれども、俺の祖母というのは若いころ、釧路の西のはずれあたり、まあそれ以上くわしく言うと俺個人が特定されかねないような人口の少ないところで、俺の母を育てながら一人で農業をやっていたという、謎の多い経歴の人で、このたび親戚が集まったのでいろいろ話を聞いてみたんですが、祖母の人生の全貌は誰も把握していないようでした。俺もそうありたい。

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俺の祖母と母が住んでいた道東のあのあたりというのは、冬なんてもうギャグみたいに寒い地域で、断熱材も使ってないようなスキマ風入りまくりの家に住み、朝起きたら枕元に雪が積もってたなんていう話を聞くと、俺には考えられないくらい大変な暮らし向きだと感じるのですが、北海道で育った団塊の世代あたりの人というのはそれくらいの経験をわりと当たり前にしていて、近所でももっと貧乏な家では「玄関につける戸が買えなくてムシロをかけていた」らしく、たかだか50年くらい前にはそんな、お地蔵さんに笠をかけたらモチをもらいましたみたいな家に住んでる人が存在していたという話は結構ショッキングでした。ということは今から50年も経って俺がじいさんになる頃には俺の家にドアなんて無かったりするんじゃないかってことを本当に思ったのでがんばります俺も。

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叔父に聞いた話。むかし叔父が知人から「市議選に出てくれないか」って話をもらって、いい気になって祖母に相談したところ、祖母が超怒って「政治家になるというなら親子の縁を切る」とまで言われたそうです。俺はこのエピソードが一番好きだな。かっこいい。